取締役 人事総務本部長 島田様インタビュー

UJULにかける想い

「やりたかったのは、やる気のある人がやるプログラム。役職も、部署も、働いている年月も関係ない。とにかく会社に変革を起こしたい人が、その変革を自分でリードできるリーダーシップを学んでいける場。それを創りたいと思った」

ユニリーバ・ジャパンUリーダーシッププログラム(以下、UJUL)の発起人であり、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社(以下:ユニリーバ)の取締役人事総務本部長である島田由香さんの想いだ。

UJULは、社内公募によって集まった20名に対して半年間かけてリーダーシップトレーニングを行っていく、10回シリーズのプログラムだ。UJULの特徴は、日々追われている仕事をいっとき脇に置き、自分の人生を自分でリードしているかを問い直すというところだ。自分は人生においてなにを成したいのか。そして、いまなんのために会社にいるのか。そうした深い内省の上で、さまざまな部門に籍を置く参加者同士がダイアログをし、自らが属する部門の立場を超えた全社的な視点に立って、会社の今後を考えていく。UJULの参加者たちは、プログラムでの気づきと職場での実践を半年間かけて繰り返していくことで、学びを螺旋状に深めていく。

良質なリーダーシップトレーニングが数多くある中で、変革を生みだせるリーダーは一人ひとりの内側にいることを、内省的に自覚させるものはほとんどなかった。

2014年に第1期が実施されたUJULだが、本来であればユニリーバのようなグローバル企業で、日本だけ独自のリーダーシッププログラムを行うことは許されていない。それを承知で、島田さんは自ら管轄する予算を編成し、仲間である役員たちに許可を取って実施に踏み切った。異例のことだ。

なぜ、そこまでして島田さんはUJULを行ったのだろうか。

 

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ユニリーバの可能性

島田さんは、大学卒業後日系の人材ベンチャーやGE(General Electric)社での勤務を経て2008年にユニリーバ・ジャパンに移った。そこでまず感じたのは、人の心根の良さだ。ユニリーバは、世界中の人が健康で衛生的な暮らしが営めるようなサポートや、環境負荷を考慮したビジネスを行うなど、世の中を良くしていくことを会社のミッションとしている。そこで働く人も、ユニリーバが打ち出す価値に共感し、志を持った優秀な人たちが集まっている。だからこそ、もったいないと感じた。能力があり、志もある。そうした人材が集まっているのだから、もっとその力が発揮されれば、社会へ良い商品を送り出せる、そしてもっと世の中への貢献も広がる。その可能性に満ちていると感じた。

その想いがよりいっそう強くなったのは、2013年に取締役という役職に就いてからだ。人のポテンシャルを引き出すというそれまでのミッションに加えて、経営という目線から組織全体を俯瞰し、会社の変革に必要なことを以前より考えるようになった。そこで抱えた悩みやビジョンなどを、当時コーチングを受けていたCCCパートナーの由佐さんに定期的に相談した。由佐さんとの話しの中で次第に会社の課題や打つべき施策が明確になっていき、UJULの企画案が固まっていった。

拡がる想いの環

UJULの2期目が、今年の3月にスタートした。前回同様、半年間の10回シリーズだ。それは、もう島田さん一個人の想いを越えたプログラムになっている。

2期目からは各部門のトップが集う役員チームJLT(Japan Leadership Team)の公認を受ける形となり、また何人かの役員からはUJULにノミネートしたい人の推薦が来るようになった。1期の成果が社内的に認められたのだ。さらに嬉しいことに、2期目の実施にあたり、1期の参加者たちが自発的にUJULの説明会を開き、自身の学びを共有する場を設けるなど、島田さんの手を離れた動きが起こり始めている。

島田さんは、UJULに参加したメンバーの考え方や行動が明らかに変わったことを確信できている。ネガティブな状況に対して他人事のような態度や考えを持っていた人たちが、自分事として捉えた行動をし始めている。一人ひとりが、自らが変革の源であることを自覚するようになったと言う。組織の成長や変革において、トップの影響力はとても重要だ。しかし、その受け皿となる社員の中にこういった自分事の意識があれば、そのスピードは格段に早まっていくと考えている。

世の中はもっともっと良くなる。苦しみや怒りから人々が解き放たれ、笑顔だけが咲き誇る地球の姿だって夢物語ではない。その未来のために、自分はなにができるのか。始まりはいつだって一人でも構わない。その想いが人事部のチームに拡がり、ユニリーバ・ジャパンに拡がり、そして世界190カ国でビジネスを展開するユニリーバ全体に拡がっていく。自らの行動の先にある未来図に、島田さんのわくわくは止まらない。