参加者インタビュー 元島様

元島陽子さん

UJUL第1期生

マーケティング – ブランドビルディング

リフレッシュメント リプトン リーフ&パウダー ブランドマネジャー

転職組がゆえの苦悩

島田さんがUJULに個人的に誘ったのが、マーケティング部の元島さんだ。大きなポテンシャルがあり、影響力がある彼女が変わっていけば周りの人に与えるインパクトが大きいと考えていたからだ。また、畑の違う会社からユニリーバに転職してきて以来、文化の違いに葛藤しているように見える彼女の姿に、もっと出せるものがあると日々感じていた。

より市場に近い場所でブランドマーケティングがしたい。その想いを胸に、自動車メーカーからユニリーバ・ジャパンに転職して2年半。起きている時間のほぼすべてを使って、仕事に没頭した。前職から変わらない、元島さんのワーキングスタイルだ。実績を積み重ね、短期間ながら会社からは着実に評価を得てブランドマネジャーになった。

しかし、業務内容、扱う商品、職場の人、話す言葉、スピード感、あらゆることが前職と異なっていた。前職より間違いなくやりたいことをやれている感覚はある。そこに充実感を感じているものの、文化の違いから来る自分と会社との不一致感に悩んでいた。

働くからには、自分のすべてを懸けて臨みたい。プライベートのために働くような、仕事の時間を犠牲と思う働き方は決してしたくない。前職でもそう思って働いてきた。自分の理想の全てがある場所として選択した自動車メーカー。ただし、自分のやりたいと目指すことを実現するには、組織そのものを少なからず変えていかないといけない。そしてそれには長い時間を要する。最終的に転職を決めたのは、自分の時間を、『やりたいことができる組織を作る』ことにではなく、『やりたいことができる場所で実行する』というのに費やしたい。そう思ったからだ。ユニリーバでは、同じことを繰り返したくない。会社がなにか大きな困難に直面したとき、自分の時間とエネルギーのすべてを捧げてその環境を変えるという選択したい。そう思っていたものの、心の不一致感がその想いを再び曇らしていた。

この会社は自分の想いに応えてくれる会社かどうか。UJULには、会社を変革していきたいと思っている人たちがおそらく集まる。自分もそこに参加し、その人たちの意識に触れることでそれを見極めよう。UJULの公募を見て頭をよぎったのは、その考えだった。

UJULを機として生じたこと

周りへの要求は常に高かった。その要求を満たさないときは上司であっても、入社1年目の部下であってもきつく叱責した。言い分は聞きもしなかった。当然上司とはそりが合わなくなり、部下からは恐れられた。ミーティングでもそれは変わらない。他のメンバーの遅れや間違いを容赦なく追及した。

そのスタンスが少し変わり始めたのが、UJULの5,6回目辺りからだった。隔週のペースであったが、次第にUJULのメンバーがプログラム中に本音を言っているのが分かってきた。それに安心感を持ち、元島さんも少しずつ自分のことを話すようになっていた。

ちょうどその頃、元島さんは多くの部署が一体となって取り組む新商品の開発プロジェクトに、マーケティング部としてアサインされていた。そのプロジェクトは、短いリードタイムの中で様々な修正が加わり、多くの問題を抱えながら動いていた。生じている問題を自分たちの部の責任にされたくない。いつもなら他部門の問題点を列挙し声高に詰問していくのだが、このときは違った。UJULのメンバー数名が研究開発部やスケジュールマネジメント部として参加していたからだ。

この人たちが頑張っていると言うのだったら、きっと最善を尽くしているのだろう。そしてこの人たちも私が頑張っていることを知っているのだから、必要以上に責めはしないだろう。信頼関係のある人がテーブルの向こう側にいることで、身を守るための攻撃的な姿勢は意味をなさなくなり、代わって相手の状況への理解が生まれた。その結果、お互いの状況を考慮し合いながら、問題を改善していくためにすべきことを生産的に話合うことができた。

役割分担を越えた目的意識を持つ

入社以来ずっと、職場で関わる人を業務遂行のために存在している人として接していた。しかし、このプロジェクトミーティングで始めてそういった見方を越え、職場で働く人もなにかの悩みや葛藤を抱えた1人の人間であるという視点に立つことができた。そして、そういった見方が仕事において有効に働くということを実感した。

その姿勢は日常の業務の中でも現れはじめた。いままでは自分の要求したレベルに至らなかった提案や合わない意見に対しては有無を言わさずはねつけてきたが、少しずつ人の言動の奥にある考えや置かれている状況に目が向くようになった。

変わったのは人の見方だけでない。自分自身の仕事への取り組み方も変化した。

以前はプロジェクト内に明確に敷かれた役割分担を前提として、自らに割り当てられたタスクを着実にこなしていくことを考えてきた。しかし、その役割分担は本当にプロジェクトを成功させるために適切なものなのか、当たり前としてきたその前提を問う姿勢が芽生え、必要だと思えば役割を越える仕事も積極的に取り組むようになった。プロジェクトの成功が、より自分事になったのだ。

働くからには、自分のすべてを懸けて臨みたい。果たしてこの会社は、その想いを満たしてくれるところなのか。その解を求めて参加したUJULだったが、気付いたのはその解は会社ではなく自分の中にあるということだった。