何やってる人なんですか?【由佐 美加子】

質問されていつも困るのが「何やってる人なんですか?」

 

「毎日自分がやれることと、直観でやったらいいと思うことだけやってます。できるだけ何もしたくないです」って答えます。

何言ってるかわからないですよね(笑)

 

私の中には、この世界の本当の姿は今の状態じゃない、という何か言葉にならない違和感があります。
特に「人間はもっと本当は美しいのに一体どうしちゃったんだろう」という感覚がずっと自分の中にうずくようにありました。

それを明確に思い出したのが、ある時ブータンで撮影した人々の写真を見せられたとき。
お化粧もしていない日焼けしたブータンのひとたちの放っているエネルギーは本当に光が射し込む植物みたいに純度が高くて、美しくて、涙が止まりませんでした。これが本来の人間の姿だって思いました。

 

CCCの講座の中では参加者が一人ずつこれにつながるプロセスをやりますが、人は誰もがこの世界にその人固有の本当に美しいエッセンスをもたらすために生まれてきています。その原石みたいなエネルギーが一人残らず全ての人の中にあるのです。

ところがその光が外側にフルに放たれている人は本当に少なくて、たいていブロックされています。小さいころから何が得意で何が苦手でどんな性格で、って自分に対していろんな評価判断を受けてそれを無意識に真に受けてるし、人にどう思われるか、どう見られるかって無自覚にいつも心配している。いつのまにかできちゃっているいろんな思い込みを解放してその人の光が放たれていくこと、それが世界の美しさにつながるって思っています。

 

だから何をしている人ですかって問われたら、「地球を本来の状態に戻したいんですよね」、というさらにわけのわからない表現になってしまいます。
人間だけがこの地球上の命の創造プロセスから切り離されて生きるなんてありえない。それは私たち人間の死を意味します。

頭ではなく、あらゆる生命とのつながりを感じられる感性、全体性の一部として生かされているという感覚を集合意識に復活させる流れに加担したい、ただそれだけで毎日できることをやっています。本当に微力だなあって痛感してますけど、それでもあきらめきれない。昔はもう底の底まで絶望してた時期もありましたけど。

 

地球はどんな星ですかって問われたら、命が育まれ、命が輝いている「場」だと思うんです。
人間はその一部として宇宙とこの地球という場をCo-Creationしている。忘れてしまったその役割を、今思い出す時だと思います。人間はどうせ寿命がきたら死んじゃうのに、生き残るために、欲を満たすために、恐れを払拭するために、余計なことばっかりしている。不安と恐れと人や世界に対する評価判断をやめたら頭で考えることってほとんどないんです。

 

シンプルに自分の命が輝くことを、周りの命を輝かせることをただ毎日やるだけです。何をやったらいいかって問いは愚問だと思います。
一人一人が、自分の命が輝くこと、地球の他の生命が輝くことだけをやろうねって合意したら地球はもとの姿に戻るんじゃないでしょうか。

いつも本質はシンプルです。真実は太古の昔から何もかわっていない。必要以上に世界を複雑にしているのは私たち人間の生存本能が生み出す不安や恐れを起点とする思考だと思います。

人間が今人間であるとはどういうことなのか、思い出せる手助けをしたい。
CCCはその流れの一旦を担う器でありたいと願っています。

 

DSC01039由佐 美加子(Mikako YUSA)
幼少期からヨーロッパ、アジア、米国で育ち、米国大学卒業後、国際基督教大学(ICU)修士課程を経て ㈱野村総合研究所入社。その後㈱リクルートに転職し、事業企画職を経て人事部に異動。次世代リーダーのあるべき姿を模索する中でMIT上級講師ピーター・センゲ氏が提唱する「学習する組織」と出会う。以降、ソーシャルテクノロジーと呼ばれる最先端の人と組織の覚醒と進化の手法を探求し続ける。2005年Appreciative Inquiry(AI)を生み出したデビッド・クーパライダー教授が教える米国ケースウェスタンリザーブ大学経営大学院で組織開発修士号を最高成績で修了。出産を経て2006年よりグローバル企業の人事部マネジャーとして人材・組織開発、新卒採用・育成を担う。2011年に独立、3年後に合同会社CCCを現パートナーと共に設立。
2015年よりCCCの活動に加えて新しいパラダイムの子育てとその実践の仕方を共有する活動を合同会社ファミリーコンパスを通して展開する
合同会社ファミリーコンパスパートナー
オットー・シャーマー著「U理論」
訳者