「なんだかよくわからない『罪悪感』という感覚」から自由になる」○○から自由になるシリーズ(4)

オンラインで対話しながらひとつのテーマを探求していく「○○から自由になるシリーズ」。

第4回のテーマは「なんだかよくわからない、“罪悪感”という感覚から自由になる」。タイトルに「よくわからない」って書いてある…(笑)!!なんだか楽しみです。

罪悪感は、漠然としている

会はいつもの通り、チェックインからスタートします。「罪悪感、というテーマにどんな興味を持っているのか」「最近罪悪感を感じたエピソード」を小グループで話し合っていきます。

 罪悪感って悪いこと?

  • 社会性から逸脱してるかもしれない、と思う時に罪悪感を感じる
  • 罪悪感は、どんな必要性があって生まれてるのかな
  • どうして罪悪感を感じるのか、どうしたら感じなくなるのか
  • 何か分からずに発生してなぜか囚われてしまう感じがもう嫌

話し合いを経てチャットに書き込まれたコメントをみながら、みいちゃんが

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「罪悪感って漠然としていますよね。得体の知れない感じがある」と指摘します。

「罪悪感を感じて、じゃあどうするの?と言われたらぐっとつまる感じがあるんじゃないかな、と思うんです。申し訳ない…って感じて、『あっ、じゃあこれやりますね!!』っていう風にはあまりならない。罪悪感はエネルギーに変換できない。むしろ、自分が浸食されていくような感覚になる。それが、罪悪感というものの特徴だと思っています」

心から「申し訳ない」と罪悪感を感じることが実は少ない私ですが(笑)、このみいちゃんの一言はぐっさりきました。まだやれる、と思っているときは、あんがい罪悪感は感じないものです。これならどうだ、これならどうだ、とあがき続けて万策尽き、初めて「申し訳ない…」となる。罪悪感は、「もう何もできない(ばたり)」という無力感とセットになっている感じがします。

罪悪感と、集合意識

続いて「罪悪感を感じたエピソードについて、具体的に何が悪いと思っているのか、そのことについて、本当はどうあるべきだったのかについて語る」ワークに入りました。そこにもメンタルモデルがある、というみいちゃん。ファシリ部屋では、再び「罪悪感」についてのトークが展開します。

「わたしが罪悪感を一番感じていたのは子どもが生まれて3年間。」とみいちゃんが話し始めました。

「全然ちゃんと母親業やっていない、っていう罪悪感がすごかった。保育園に預けると、子どもが泣く。母親失格だ、って思ってた。母親っていう集合意識にのしかかられてる感じがあった。『何やってるんだろう私は。家にいて子どもに時間を使うべきなのに、それをしないで好き勝手なことばかりやっている』って。」

「役割を果たせないことの罪悪感、みたいな感じかな。でも、枠を越えることへの罪悪感ってあるよね」(海さん)

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「あるある。罪悪感からもたらされるのは、自分であるということを貫けないという感じだよね。何かの集合的なもの、規範や正しさがあって、そこに自分が添えないときに起きるんじゃないかと思う」(みいちゃん)

罪悪感で、得るもの失うもの

さて、グループでの対話を終えて戻ってきた参加メンバーに、みいちゃんが問いかけました。
「罪悪感をもっていてお得なことってなんだと思いますか?」

ここまでの流れで(罪悪感から逃れられない私…)と悲劇モードに入りつつあったところへ、さくっと投げかけられるこの問いかけ(笑)

参加メンバーからも、(罪悪感をもっていることで)「悲劇のヒロインになれる」「責任回避できる」「いい人のポジションでいられる」など、結構ぶっちゃけたコメントが寄せられます。

「じゃあ、何を失っていると思いますか?」とみいちゃんが更にたたみかけます。
罪悪感をもっていることで、私たちはいったい何を失っているのでしょうか。

「自由」「自分への信頼」「つながり」「自分であること」「何かを創り出せる可能性」…そんな言葉が出てきました。ひとりひとりがそれらをすべて失った時に、世界はどんな風になるだろうか…少し想像してみるだけで、薄ら寒い光景が浮かびます。

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「人の歴史には常に、個がどういう風に自由に生きるかということと、国とか国家というレベルの全体性のシステムをいかに効率的に回すかということとのせめぎあいがあると思うんです。その中で、罪悪感というのはすごく使いやすい」(みいちゃん)

「たとえば、今の感覚では、戦争をしないことが正しい、という風になっています。でも『それだと子どもたちを守れないよ。大事な子どもたちを守ろうとしないあなたはどうなの?』っていう風に罪悪感を使ったら、『戦争に行かないと正しくない』という世界は創り出せてしまうんです」

罪悪感の中にあるニーズ

ここまでの内容を、参加メンバーはどのように受け取ったのでしょうか。海さんが読み上げます。

  • 罪悪感は、集団を管理するいい道具なんだと気づいた
  • 他人がどう思っても自分は自分でいいと思ったら罪悪感は消えるのか、それとも反応としては残るけど自分でいることを選択できるようになるのか
  • 罪悪感とどうつきあうのか
  • 全ての人が好き勝手していたらやっぱり怖いと感じる。現実的にそんな社会がつくれるのだろうか

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この短時間で、様々な気づきや問いが生まれているのが分かります。

「罪悪感を感じたときに、まずそれを感じている自分について認識できるかがポイントです。そして、そこで終わらないことが大事」(みいちゃん)

たしかに、「今、自分は自分を責めている」ということには、案外気づきにくいものです。それくらい、当たり前のことになっています。だからこそ、そこに気づくことが始めの一歩だと、みいちゃんは言います。

「ただ、そこで終わると、『すいません自分はこんなんで』と思考停止で終わってしまう。本当は自分はどうありたいと思っていたのか。“べき”の中にどんな願いがあったのか…自分がほんとうは何を満たしたいと思っていたのかということに、つながってみる。罪悪感の中にある感情とニーズを抽出するというプロセスが大事です。」

罪悪感から自由になる2つの道

「できなかった」ということに対して、人は罪悪感を抱きます。その「できなかった」は2種類ある、とみいちゃんは言います。

ひとつは、「最善を尽くしてもできなかった」という場合。自分の責任範囲は、最善を尽くす、というところまで。その先の、結果についてまで責任を負わなければ、罪悪感からは自由になれる。

もうひとつ、「もっとできたはずなのにやらなかった」場合。「やらなかった」ところに、別の自分のニーズがある。「自分はこのニーズを満たしたかったからこういう行動を取ったんだ」と知的に理解したら、罪悪感からは自由になれる。

能力的に、最善を尽くしても「できなかった」のか、それとも、他のニーズがあってそれを「やらない」という選択をしたのか…まずはその違いに明確になること。罪悪感から自由になるための、最初のステップは、ここにありそうです。

自分の価値を貶めずにいること

「罪悪感」を発動させて、「責任を取る」ためにがんばる…そんなやり方が、世の中にあふれています。しかし、そのやり方と、「主体的な自分がニーズとつながる選択をしていく」というのとでは、そのパワーは全然違うものになるのではないでしょうか。

「自分の価値を貶めずにいることが、『自分に責任をもつ』ということだと思います。自分をエンパワーできるのは、自分しかいないんです」と、みいちゃんは言います。

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その言葉を聞いて、気になっていたことを思い出しました。このところずっと子どものシャツにアイロンをかけてない…そのことに、自分が罪悪感を感じていることに気づきました。それは、子どもに対して、というよりは、「保護者としてどうなの?」という、「世間」に対する申し訳なさの感覚でした。

でも、これはもちろん「能力的にアイロンがかけ“られ”ない」ということではありません(ただし上手ではないので、そこには能力も絡んできますが笑)。「私は時間を他のニーズのために使った」というのが起きた事実です。

そう気づいたら、ふっと、自分が自分の中心に立てたような感覚になりました。この感覚は、思いのほか嬉しいものでした。一方で、こんな小さなことにすら、普段どれだけパワーを奪われているんだろう、ということにも思い至ったのです。

自分の責任範囲を明確にし、その中でベストを尽くすこと。また、「やれなかった」ではなく「やらなかった」自分の選択と、源にあるニーズを尊重すること。「罪悪感」を巡る対話の中で、そんな2つの大切なことをつかめたように思います。

筆者:八田吏(CCCファシリテーター養成講座プロコース3期修了生)

 

【まとめ動画】(約5分30秒)
○○から自由になるコミュニティ・ラーニング【シリーズ第4回】
〜「なんだかよくわからない【罪悪感】という感覚」から自由になる hosted by 由佐美加子

○○から自由になるシリーズ

【○○から自由になるコミュニティ・ラーニング】は、以下の日程で開催する予定です。

テーマは毎回変わりますが、日々充足して生きることに直結する、学校では教えてくれないテクノロジーをシンプルに、誰でもできるように、日々実践できるような内容でご提供します^^。

また、参加された方、録画動画を視聴された方は、録画視聴した後の感想や、参加後に体験した事のシェア、湧いてきた質問などを共有しながら共に気づきを深めていくことを意図したFacebook非公開グループに参加が可能です。

連続で参加できない場合でも反復と刷り込みと小さな実践を日々重ねていくことをサポートできるように、グループ内で由佐が様々な質問や体験のシェアに答えていきます。

第1回目:5/25(火) 「不本意な反応」
第2回目:6/14(火) 「人生の自作自演ドラマ」
第3回目:7/5(火) 「人生を縛る『お金』という概念」
第4回目:8/11(木・祝) 「何だか分からない罪悪感という感覚」
第5回目:9/28(水)  「得体の知れない【恐れ】」
第6回目:10/26(水) 「無自覚に課された【責任】」
第7回目:11/22(火) 未定
第8回目:12/13(火) 未定

※時間は各回20時〜22時半を予定。全てオンラインでの開催。

※過去動画は最新でオープンになっている回の申し込みページから購入が可能です。

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